フリュイジョリ公式LINE アカウントの友達登録はこちら

JOURNAL

Fruitsjolie & Paris -vol.2-



「想いが糸のように繋がり、、、気がついたら私はデザイナーになっていた」と語るEliseさん

 

<プロフィール>略歴
生粋のパリジェンヌだった父方の祖母はマドモワゼル・シャネルの下で働いたクチュリエ(職人)。祖母から洋服作りを教わり、幼い頃から祖母の家で洋服作りに明け暮れる。自身のブランドを立ち上げる日がくることなど夢にも思わず、ソルボンヌ大学でアートの歴史を専攻、東洋言語研究所でチェコ語を学ぶ。国際法律事務所で5年間働いた後ファッションの世界へ。パリのマレ地区で古着や古いレース、そして刺繍を専門に扱う小さなブティックを購入。15年間ブティックを続ける中で顧客にはジャン・ポールゴルチエ、ジョン・ガリアーノ、ヨージヤマモトのような偉大なスタイリストや女優のヴァネッサパラディなどがいた。その後、自身のクリエーションの世界に飛び込む。2013年、パリ6区のサン=ジェルマン=デ=プレにブティックをオープン。自身のブランド”Au fil d'Elise”(フランス語でエリーズの糸に沿って)を立ち上げ今に至る。

 

 

「Fruitsjolie & Paris」企画、今回はEliseさん自身をより知ってもらいたく、インタビュー形式にて紹介する。彼女のお店でデリバリーランチを食べながら終始和気あいあいと、時に真剣なまなざしとピリッとした空気感の中でインタビューは順調に進行した。インタビューの途中では、幼い頃に母親と撮った貴重な白黒写真も飛び出した(今は2019年の火災修復により閉鎖中のノートルダム大聖堂正面前)。「Eliseさんの人生を遡る旅」に一緒に出かけているような疑似体験と共に、Eliseさんへの親近感がどんどん膨らんでいった。


interview

― 幼いころから祖母の下で洋服づくりを楽しんでいたわけですが、本格的にファッションを専攻することは考えなかったのですか?


― 小さな時からファッションというよりも、芸術全体に興味がありました。芸術の中にファッションがあり、また服や生地があるので、ファッションにも自然と興味を持っていました。でも当時はその職業に就こうとは全く考えていませんでした。私が芸術を好きだから、と親に勧められたこともあり、大学では芸術史を専攻しました。

 


― ファッションへの第一歩はマレに店を持ったことですよね


― 大学を卒業後に弁護士事務所で議事録を書く仕事をしていました。何かを作りたい気持ちはありましたが、具体的に頭に浮かんでは来ませんでした。そんなある日、友達のお母さんのお店を買う機会が生まれました。マレにあるそのお店の在庫やお客様も全て引き継いでスタートしました。生地や洋服のビンテージのお店でファッションに少し近づいた感じでした。ファッション界、芸能界の重鎮が足を運んでくれました。彼らはインスピレーションを養うために私のお店を利用していました。




― その後自身のブランドを立ち上げ今に至りますが、何がきっかけだったんでしょう?


― ビンテージを扱っているうちに、古くて良いものだが、自分で作りたいという気持ちが湧いてきました。お店に並べる服作りはどこから初めて良いかわかりませんでしたが、たまに買い付けにやってくる、ある日本ブランドのバイヤーさんから、からこ(レースのついタンクトップ)のコレクション企画を提案され日本で発表しました。その後、からこに他のアイテムを足してみたらと企画が広がり、そこから自分のコレクションと呼べるものが始まりました。残念ながら日本との取組みは長くは続きませんでしたが、優秀なパタンナーさんの型をそのまま埋もれさせるのはもったいないと思い、その後自分のショップでコレクションを展開してみたら今までのお客さん(ビンテージ)以外のお客様が増えていきました。


 


― サンジェルマンデュプレにお店を構えたのは?


― 2010年~2012年の終わりまではビンテージと自分のコレクションの両方をやっていましたが、その後は自分のコレクション展開だけに変更しました。2012年からは自分の作った物を売ることだけに集中したいという思いが徐々に膨らんできて、そのコレクションを展開するにはこの6区が良いと思いました。2013年には、どこか良い立地はないかと本格的に探し始めました。今のこのお店の場所は、昔はウェディングドレスのお店で、小さな時から知っていました。マレのお店への行き返りにバスで通る度に眺めてはいいな~と思っていたある日、売りに出ているのを見てすぐに決めました。



― ブランド名の由来は?


― マレの店はフィッシャというお花の名前でした。ブランド名の“Au fil d'Elise”(フランス語でエリーズの糸に沿って)は、自分のコレクションを初めて企画した時に、何か名前をつけなくては、と友達と話をしている時にすっと頭に浮かびました。小さい時からのファッションの想いが糸のように繋がって今に至っている、というイメージですね。「ロゴの糸に沿ってが素敵だね」と、通りがかりの人が話してくれている声が聞こえてくることもあります。音の響きもフレーズとしての響きも柔らかくてとても気に入っています。





― このブティックのテーマはありますか?


― すっきりしていて、ミニマリズム、必要じゃないものをなくす、浄化された、洗練されたイメージですね。お店に来てくれる人は、あなたがいるところは居心地がいいね、とよく言ってくれます。お客様の話をしっかり聞いてお客様の要望を整理して提案している大事な場所でもあります。昨日もお客様と会話をしてイメージができたのでその場でデッサンと生地提案をしてオーダーを頂きました。やはり話すことが大事で、今までにそうして出来上がったものは着心地も良くお客様は気に入ってくれています。






 

 

<コレクション>品揃えや新作発表
彼女のコレクションは、ウェディングドレスとプレ・タ・ポルテ(特にワンピースとコート)。コレクションは全て自身でデザイン、生地は主にフランスとイタリアのものから選んでいる。レースは全てフランスのもの。パリにある2ヶ所の小さなアトリエで製作(ひとつはウェディングドレスとイブニングドレスの専用ライン、もう一方はプレ・タ・ポルテ(既製品)専用ライン)。生地選びから製品の仕上げの全工程において細部にまで注意を払っている。

 

 ― 選んでいる生地にテーマはありますか?


― 扱うものは自分が良いと思ったものだけを選んでいます。流行を意識した品揃えはしていません。お客様から流行のものを聞かれることもありますけれど気にしていません。流行を探す方はボンマルシェ等へ。そのような場所で見つからないものを探しに来るのが私の顧客たちなのです。自分の顧客に流行を押し付けたくないのです。私自身が、みんなが緑だって言ったら黄色を着たいタイプですから。


 

― コレクションの展開スケジュールはありますか?


― 春夏秋冬の各シーズンで3着くらいの新作を強く打ち出します。例えばこのシーズンはこの柄、このスカートにこの丈、といったようにです。その他には不定期で数にもこだわらず新作をデビューさせています。独立してやっているので、好きな物を好きな時に作っています。

 



 

<クリエーション>創作
彼女のクリエーションの指針は、純粋さ、慎み深さ、エレガンス、そして女性らしさ。
ドレスを着る女性の個性を大切にしている。映画やトレンドやファッションの歴史、旅行からインスピレーションを受けている。クライアントにさまざまな選択肢を提供する。生地を選んでもらい、クライアントの個性に合わせてパーソナライズされた唯一の服を作ることを大切にしている。



― 
パリ育ちで身についた感性はどんなものだと思いますか?


― 生まれも育ちもパリ、生粋のパリジェンヌなので、感性に様々な影響が出ていると自分でも思います。小さい時に自分が良くみていた「フランスの日」という雑誌は70年代のウンガロ、サンローラン、バレンチノが掲載され、綺麗で素晴らしいと思って見ていました。映画も良く観ましたが、昔の映画のシーンの中で女優さんが着ている洋服が大好きでした。それが今のクリエーションに大きな影響を与えていると思います。美術館にもよく行きますね。16区にある「ガリエラ」という洋服とコスチュームのミュージアムへは、小さい時からお母さんに連れられ、飽きることなくずっと展示品を見ていました。小さい時からパリの「モード」を、街ゆく人はもちろん、雑誌や映画や美術館等で見てきたのでパリジェンヌの「シック」を持っていると思います。






― 
今回Fruitsjolieというブランドにどのようなクリエーションを感じていますか?


―すごく素敵だと思います。実際に製品を見る前に、HPやインスタグラムでたくさんの製品の画像を見て、私の感性に合うなと感じ今回の取り組みを検討しました。実際に現物を目で見て、あれこれ着けてみた印象は、まずシンプルなラインが良いと思います。石自体も綺麗で魅力的ですね。機械の生産ではないとわかる、職人の手作り感が良いですね。カボションが優しくて思わず触りたくなります。あと、飴みたいでかわいいですね。



 

インタビューを終えて、Eliseさんの感性や洋服づくりへのこだわりが「Fruitsjolie」と一致する部分が幾つかあるなと感じた。その後の撮影日までを、Eliseさんが選ぶリングと洋服と撮影場所をあれこれ想像して過ぎすこととなった。しかしその後はなかなかやって来なかった。彼女の仕事が多忙となったこと、パリの天気がとても不安定だったことにより。まさに暗雲が立ち込める不安な日々を過ごすこととなった。 aki

 

インタビュー協力: Riyo Kishida  https://www.parischezmoi.com/

 

Fruitsjolie & Paris -vol.3  はこちら

Fruitsjolie & Paris -vol.1  はこちら

 

 

 

前の投稿へ
次の投稿へ
×

recently viewed

top