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京の色だより-vol.4-「変わりゆく秋の色を指先に -カーネリアンの静かな情熱-」

初々しく、活動的な時期を経て手に入れた、燃えるような美しさ——。

季節を通した木々の変化を人の一生に重ねると、紅葉は成熟した女性のイメージでしょうか。あでやかな色彩に出会うため、秋が深まる京都の街には人が溢れ始めます。


11月に入れば、貴船や大原など北の木々から赤や黄色に染まり始め、11月下旬には、洛中全体が燃えるような色に。寺院などの名所では夜間拝観が行われ、ライトアップされた紅葉の幻想的な景色を楽しむことができます。


紅葉への憧れは、はるか昔から。特に中世の人々は、移りゆく季節へ強く心を寄せていました。鎌倉時代初期に選歌された小倉百人一首には、こんな歌が収録されています。


奥山に 紅葉ふみ分けなく鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき


これは「人里離れた山の中で、紅葉を踏み分けながら相手を求め鳴く鹿の声を聞くときこそ、秋の物悲しさを感じる」という意味の歌。当時の人々は、目の前の紅葉だけでなく、奥深い山の中で鹿が踏む紅葉にまで思いを寄せていたのです。


一年を通して変わってゆく葉の色。かつては、細やかに呼び分けられていました。

春に萌え出るときの、みずみずしく冴えた黄緑色は「萌黄色(もえぎいろ)」。盛夏の頃に濃さを増し、やや黒味のある緑色は「老緑(おいみどり)」。そして、枯れゆく過程の黄褐色を「朽葉色(くちばいろ)」と呼びました。

 

この朽葉色は色域が広く、「朽葉四十八色」といわれるほどのバリエーションがあります。

たとえば、夏が終わって渋さを増した緑色は「青朽葉(あおくちば)」。そして鮮やかな黄色になったあと、わずかに茶色味を含んだ色に変化したのが「黄朽葉(きくちば)」。赤みを増してすっかり紅葉したような赤茶色、「赤朽葉(あかくちば)」は『源氏物語』などの古典でも、登場人物の季節の装いとして場面を彩っています。

 

古来より、日本には「もののあはれ」という美の概念がありました。解釈はさまざまありますが、一般的には、人の心の移ろいや季節の変化に触れて沸き起こる、しみじみとした喜びや悲しみ、驚きなどの情趣をさします。

 

枯れ葉、落ち葉と聞くと、地味なイメージを持たれる方もいるかもしれません。

けれど、季節の移り変わりを繊細にすくい取った朽葉色はまさに「もののあはれ」を代表する色。日本人の美意識を象徴する色のひとつなのです。

 

* * *

 

 フリュイジョリがこの季節にお勧めするのは、鮮やかな紅葉を閉じ込めたようなオレンジのカーネリアン。カーネリアンは、細かい石英の結晶を主体とする天然石、カルセドニーの一種です。深く澄んだ光が、静かな情熱を感じさせます。

 

金色に輝くイチョウを思わせるのは、ルチルクォーツ。水晶の中に入った針状の結晶、ルチルの反射光が美しく、手元を強く印象付けます。

 

落ち葉のような深いブラウンのスモーキークォーツは、知的で洗練されたイメージ。付けるシーンを選ばず、他のリングと重ね付けのしやすさも魅力です。

 

 芸術や読書など、心を潤すのにぴったりの季節が始まります。豊かな秋の色をすくい取るように、天然石を選んでみるのも素敵ですね。



◎この記事でご紹介した「カーネリアン」、「ルチルクォーツ」、「スモーキークォーツ」を10月23日(土)から25日(月)までFruitsjolie京都店で開催される「京の色だより MORE VARIATION」でご購入、オーダーいただけます。

商品のお問い合わせはFruitsjolie  JAZZ(Fruitsjolie京都店)Instagramアカウントへメッセージを頂くか、info@fruitsjolie.comまでお問合せください。

 

《京都で出会う、朽葉色》

龍安寺

京都市右京区龍安寺御陵下町13

 

世界文化遺産で、京都を代表する寺社の一つ。1450年、室町幕府の有力者・細川勝元が創建した。枯山水の石庭が世界的に有名だが、約400本のカエデが彩る紅葉の名所でもある。鮮やかな木々が水面に映る鏡容池(きょうようち)庭園や、まるで紅葉のトンネルのような参道の風景が美しい。市内の他の名所と比べると色付きが遅く、例年12月上旬に見頃を迎える。

 

Text:Sachie Otani

Photo:PIXTA 



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